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右岸便り

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最高裁の犯罪ー②

もう一方の最高裁の犯罪性を内部から告発しているのが、30年以上裁判官として東京地裁や最高裁事務総局等に勤務し、2年前から法科大学院で教鞭を執るとともに学者生活を送る瀬木比呂志氏の著作「絶望の裁判所」(講談社現代新書)である。
最高裁の犯罪ー②_a0280432_21173985.jpg「絶望の裁判所」をネットで知り、その題名に抱いたイメージは、日常生活でトラブルに巻き込まれて、裁判所に訴訟を持ち込んで正義を実現してもらおうとしても、まったく望めないというものだった。読み進めるうちにそれだけでなく、裁判所の内部で働く主に裁判官を中心に、能力面だけでなくモラルやモラール面でも低下を来しており、もはや絶望的なまでに進行している様子がうかがえる。最高裁事務総局を中心として全裁判所・裁判官が上命下服、上意下達のピラミッド型ヒエラルキーを形成し、人事による統制を徹底させている。そのため日本の裁判所・裁判官制度の問題の諸悪の根源となっている事務総局を解体し、真に開かれた透明なシステムで司法制度改革がなされなければならないと主張している。それは「最高裁の犯罪ー❶」において、東京地検特捜部の暴走や検察審査会の疑惑といった視点からだけでは捉えることができず、それらの背後に最高裁事務総局が存在し、追求すべきと結論づけているのと軌を一にしている。
最高裁の犯罪ー②_a0280432_1619781.jpg著者は言う。「十四名の最高裁判事のうち裁判官出身者は、近年はほぼ全員が事務総局系である。事務総局のトップである事務総長は最高裁長官の直属、腹心の部下であり、そのポストは最高裁長官、最高裁判事への最も確実なステップである。ほとんどが最高裁判事になっており、歴代裁判官出身最高裁長官の約半分を占める。『最高裁長官の言うことなら何でも聴く、その靴の裏までも舐める』といった骨の髄からの司法官僚、役人でなければ、絶対に務まらない。最高裁長官のいる席では、『忠臣』として小さくかしこまっているが、その権力は絶大であり、各局の局長たちに対して長官の命令を具体化して伝えている。行政官庁の局長には、かなりの程度の裁量権があるが、事務総局の局長には、そんなものはほとんどない。(中略)当然、局長の部下であるところの、局付はもちろん課長でさえ、本質的には、ただひたすら命令される『若造、小僧』にすぎないといってよいだろう。ところが、事務総局の外、つまり現場の裁判官たちとの関係では、事務総局の権力と権威は、そのトップについてはもちろん、総体としても決定的に強大である」と。
最高裁の犯罪は、小沢謀略裁判や多くの冤罪事件を生み出したり、絶望せざるを得ない裁判所にしてしまっただけでなく、国家の最高法規である日本国憲法を踏みにじって今日に至ったことだろう。本書では、公開された米公文書を援用した新聞記事として、砂川裁判の裏側を紹介している。
最高裁の犯罪ー②_a0280432_16335565.jpg「田中耕太郎第二代最高裁長官が、米軍基地拡張反対運動のデモ隊が境界柵を壊し数メートル基地内に立ち入ったとして起訴された、いわゆる砂川事件の一審無罪判決(1959年〔昭和三十四年〕三月三〇日東京地裁判決)に対する最高裁への跳躍上告事件(同年十二月十六日最高裁大法廷判決。破棄差戻し、全員一致。なお、この跳躍上告は、後記マッカーサー大使の示唆に基づくものといわれている)に関し、同年七月に、共通の友人宅で面談したレンハート駐日米公使に対し、『判決はおそらく十二月であろう。〔最高裁の審議では〕実質的な全員一致を生み出し、世論を揺さぶる元となる少数意見を回避するようなやり方で〔評議が〕運ばれることを願っている』と伝えていたという。また、田中長官は、判決に先立ってマッカーサー駐日米大使ともやはり非公式の会談を行い、判決の見通しを示唆していたという。いずれも機密指定を説かれた米公文書より判明した事実である。これらは、最高裁大法廷判決の内容と見通しに関する、かなりの程度に明確な事前のリーク、それも政治的な意図に基づくところの、外国高官に対するリークである」
最高裁の犯罪ー②_a0280432_16203620.jpg実際はリークなどといったものだけではなく、米国務省の考えた筋書に沿って判決を下したことが、米側の公文書によって明らかとなっている。その砂川事件最高裁判決の中で、「安全保障条約は、主権国家としてのわが国の存立の基礎に極めて重大な関係をもつ高度の政治性を有するものというべきであって、その内容が違憲なりや否やの法的判断は、純司法的機能をその使命とする司法裁判所の審査には、原則としてなじまない性質のものであり、従って、一見極めて明白に違憲無効であると認められない限りは、裁判所の司法審査権の範囲外のものと介するを相当とする」とあり、この判決文は、安保条約のような高度な政治性をもつ事案については憲法判断をしない、と言っている。また判決は「安保条約に基づく米国軍隊の駐留は、憲法9条、98条2項および前文の趣旨に適合こそすれ、これらの条章に反して違憲無効であることが一見極めて明白であるとは、到底認められない」とも述べられている。マッカーサー大使は、①地方裁判所には米軍駐留の合憲性について裁定する権限はない。②米軍駐留は合憲である。③安保条約は日本国憲法よりも優位(上位)にある。と語っている。
法の番人、いやそれ以上に憲法の番人であるべき最高裁が、米国の番犬であるという現実。小沢謀略裁判はまさに最高裁事務総局が番犬の本領を発揮したものである。裁判所はますます絶望する方向へ向かっているという内外からの告発を、広く国民は受け止め司法改革の声を上げるべきではないだろうか。
by z-project-inc | 2014-04-15 16:34 | Comments(0)
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